住宅業界の誰にも言えない4つの秘密
住宅業界には、間違った常識がたくさんあります。
自分たちにとって都合の悪いことは、何も言わずに秘密にしています。
私自身の反省の意味もふまえて4つの秘密を公開します。
最初に聞いた金額と完成後の金額が違う・・・。
家づくりで何も知らない人がこんな皮算用をします。
「坪単価30万円か……すると40坪で1200万円。これなら俺にも買えるぞ!」
しかし多くの場合、家が完成すると価格は1.5倍から2倍にまで膨れ上がります。
商談時には坪30万円。でも、あれを付けると○○万円アップ、これを直すとさらにアップといった感じで、
家が完成する頃には目が飛び出るほど高い金額の家を建ててしまっているのです。
「どういうことだ?詐欺と変わらないじゃないか・・・」
怒ってもだめです。それが住宅業界の常識なのです。
価格の出し方は自由・・・。
住宅価格の表示方法には、決まりがありません。価格の提示方法が各社で自由なのです。
坪単価で表示するところもあれば、丸ごとフル装備の価格を表示するところもあります。
また、引渡し価格の場合もありますし、「設計してみないと金額は出せません」などと言い出す会社まである始末です。
「坪単価21万円」という広告に惹かれて喜んで話を聞きに行くと、「60坪以上でなければその単価にはなりません」「基礎工事が別です」などと言われてがっかりすることがあります。
おまけに、これはモデルハウス仕様ですから、実際はこちらのカタログから選んでいただきます。
経費がそのほかに10%かかります…。
ローコストを売り物にする住宅会社にも良い会社、悪い会社はあります。
その善し悪しを見分けるために、以下の点は必ず押さえておいてください。
良い会社は、契約前に引き渡し価格の話をします。
そこで、家本体以外にかかる費用を文章で説明してくれます。
悪い会社は、契約前にチラシにある本体価格のみで話を進め、契約後にその他にかかる費用を提示するのです。
どこの会社も暖かい家を造れなかった秘密
昔の家づくりは土壁が使われていました。
土壁がそのまま断熱材であり補強材にもなる壁の下地の役割をしていたのです。
1970年代に、今までの木の家づくりに代わって新建材と呼ばれる材料が普及し始め、断熱材も土壁からビニールパックに包まれたグラスウールに代わってきました。
グラスウールは一気に普及しましたが、普及の仕方に問題があったと私達は思います。
なぜなら、商品だけが普及し、メーカーの施工マニュアルが工事施工者にしっかり理解されなかったからです。
グラスウールは正確に施工されて、はじめて効果がある材料です。
しかし、「断熱材をどのように施工すれば、断熱効果が期待できるか?」
「施工の仕方がいかに大事なことなのか」が、建設会社や大工に教えられていなかったのです。
そのためせっかく、本来家を暖かくするグラスウールを断熱材に使っているのに、まったく断熱されない
「寒さに震える家」が相変わらず建てられていったのです。
「いい家を造ろう」そんな志をもった大工は大勢います。大工は当然いい仕事を追及してきました。
しかし、断熱材の施工については、教える人がいなかったため正確な施工ができませんでした。
大工だけでなく、建築に携わる設計士ですら管理を怠った部分が断熱材の施工でした。
大工が断熱材を適当に詰め込んでも「このように充填してください」と管理・指導できる人材がいなかったため、自己流に詰めることが当たり前になっていたのです。
さらに、断熱材の施工手間賃が安かったことも悪影響を及ぼしました。
ひどい業者は、大工手間にコミコミで含ませることもありました。
これでは大工も真剣に断熱材なんて入れません。まして、埃にまみれる大変な仕事ですから。
断熱材の施工では、壁の中にビニールパックのまま充填できる部分と、そうでない部分があります。
そのまま充填できない部分は断熱材をカットして、隙間なく充填します。
しかし、その切り方が寸法通りではなく隙間が出来てしまっても、そのまま充填してしまう、
ということが行われました。
「暖かい家に住みたい」あなたがそうお考えなら、施工中の現場を見てください。
使用する断熱材の性能や、暖房器具の性能だけで判断するのは危険です。どのような施工や点検がされているのか、ご自身の目でしっかりと確かめることが大切です。また、気になることがあれば住宅会社の人に話しを聞いてみましょう。
暖かい家は贅沢な家ではありません。「長野の冬の寒さに負けない家」は当たり前に造られなければいけないと私達は考えています。
建築中の家を公開しない・・・
以上の4つの秘密が、私たちの業界では当たり前のように行われていることです。
しかし、お客さんの立場になってみると「え、どうして?」と思うことが少なくありません。
当たり前のことですが、誰も自分に都合の悪いことは言いません。
都合の悪いことは、秘密にしておいた方が後々楽だからです。
「これが業界では当然なんですよ」と、言われれば、納得いかなくても「そうですか」と返事するしかないわけです。